推理~探偵~ (2/13)


「いや~先程は申し訳ありませんでした。」

コーヒーを二人分作った俺は一つを自分に、もう一つを依頼人の前に置いて椅子に腰掛けた。


やっべぇ、怒ってるよ。


今回の依頼人は四十歳くらいの女性だ。

服装が派手でやたらと化粧が濃い。


それでも依頼人は依頼人。

重苦しい空気も営業スマイルでなんとかごまかす。


「それで……ご用件は何でしょうか?」


苦しい。

ヒステリックに叫びたくなるような空気だ。


まぁ、原因は俺にあるのだが。



依頼人は黙ってコーヒーを一口飲むと、冷たい目で俺を見据えた。


「まずはお名前から名乗っていただけるかしら?」


上品な口振り、いや、ただの嫌味だろう。


落ち着け、俺。

「すみません、申し遅れました。私は相良 渉(さがら わたる)と申します。今年で三十一歳になる、AB型のしし座。好きな飲み物は自分で淹れるコーヒーにございます。」


そう言っておどけてコーヒーを指してみたが、いまいち反応は薄い。


とりあえず名刺を引き出しから出して渡した。


「相良さんね。覚えておくわ。私のお腹にパンチを食らわせた男ですもの。」


名刺を受け取りながら毒を吐く依頼人。


根に持ってるなぁ。

絶対性格悪いよ、こいつ。

俺は苦笑いを浮かべて話を流す。



「今回の依頼は夫の浮気を調査して欲しいの。」


はいはい、浮気調査ね。


そりゃこんな性格なら浮気もしたくなるわ。


なんて言えずに、俺は一枚の用紙とペンを差し出す。


「わかりました。そこに、夫とあなたの名前、職業、年齢をお書き下さい。それと、わかるのであれば、夫の勤務時間やご趣味もお願いします。」



依頼人は指輪でじゃらじゃらとした指で走り書きの文字を書いていく。



数分して依頼人はペンを置いた。


俺は頭を下げながら用紙を受け取る。