推理~独身会社員~ (16/18)
「私も飯島君と手を組んでるの。目的は彼とは違うけどね。」
まゆみは俺の方を見ながら淡々と話す。
「私が今日ゆうたの部屋に来たのは飯島君をこの部屋に招き込むためよ。それで人質の振りをしてゆうたの拘束に成功した。なのに飯島君があんなミスなんかするから私が手を汚さなきゃいけなくなった。」
まゆみの言葉にごめんと言った飯島の顔には所々火傷の後が出来ていた。
「まゆみ……本当に俺を殺す気なのか?」
ゴクリと唾を飲み込む音が俺の体中に響いた。
「そうだったけど、止めた。私達が殺ってまたミスしたくないから。もうすぐ組の人が来てくれるから、後はその人達に任せる。」
組?
やくざのことか。
まゆみはやくざとまで繋がっていたんだ。
全く知らなかったな。
しかし、どの道俺が殺されるのには変わりないらしい。
ピーンポーン
チャイムが鳴る。
「来たみたいね。飯島君出て。」
まゆみの言葉に飯島は、は~いと抜けた返事をして玄関に向かう。
ああ、俺の人生もこれまでかよ。
つまんねぇなぁ。
俺はどうすることも出来ずにただまゆみを見つめた。
まゆみは数秒目を合わせたあと、俺に背を向けて玄関へ向かう。
「待って、まゆみ!」
気付いたら俺はまゆみの名前を呼んでいた。
「…さよなら。」
俺は死ぬ。
だからせめてもの、お別れの言葉だ。
まゆみのことは真剣に好きだった。
いや、まだ好きなのかもしれない。
こんなことされて好きなんておかしいよな。
でも…好きなんだ。
だからこそ、さよなら。
これ以外は辛過ぎて口に出せないんだ。
「……さよなら、ゆうた。」
少しの間の後、まゆみはこちらを見ずにさよならと言った。
そして玄関の方へと歩き出した。
さよなら、まゆみ。
さよなら、みんな。
俺は
ゆっくりと
目を
閉じた。