推理~独身会社員~ (14/18)
かなり強引な台詞だったかもしれない。
しかし、飯島の沸点に達するにはそれで十分だった。
「僕は、僕はバカじゃないんだぁあぁあああ!!!」
包丁を振り上げてドタドタと近づいてくる飯島に対して俺は以外にも冷静だった。
まゆみを危なくないように横に突き飛ばして素早く台所の前まで走り、飯島に向かい合う。
「おぉおおおお!!」
包丁の切っ先が俺を目掛けて振ってくる。
俺はちらっと後ろを確認した。
これが俺の武器。
みそ汁入りのステンレス鍋だ。
鍋の取っ手を脇に挟む。
喰らいやがれ!
「ああぁあぁあ!」
俺は雄叫びを上げて鍋の取っ手を脇に挟んだまま思いっきり下に倒れこんだ。
包丁は髪を掠めて台所の流しに突き刺さる。
鍋は煮えたみそ汁を撒き散らしながら綺麗に飯島の頭へと降りかかった。
「ッッッつぁああぁあ!!」
飯島はその場に頭を掻きむしりながら倒れ込む。
そりゃ熱いだろうよ。
俺も逃げるのが遅れて少し足にかかってしまったが今はそれどころじゃない。
早くまゆみを連れて逃げるんだ!
俺は足の痛みを堪えながら勢いよく立ち上がった。
ゴッ。
……え?