推理~独身会社員~ (12/18)
やはり飯島だった。
俺はそのまままゆみを後ろにしてじりじりと後退りしながら言う。
「今日お前と会社で話しただろ?そん時に俺が無言電話に困ってるって言ったよな。そしたらお前は『だから目の下にクマが出来てるんだぁ』って言ったろ?」
そう。
この会話の時から俺は飯島を疑ってたんだ。
普通無言電話で困ってるって言われたら
大変だねぇ
みたいな言葉を返すのが普通だ。
なのに飯島は
だから目の下にクマが出来てるんだぁ
って。
おかしくないか?
俺は寝不足ともストーカーとも言ってない。
しかし飯島は無言電話という情報だけから寝不足にたどり着いた。
それの言葉が出るのは飯島がストーカーである以外無理なんだ。
「それだけ?」
飯島は包丁の刃先に目を落としながら言う。
「もう一つは留守電だ。昨日の留守電じゃ誰かわからなかった。でも今日の留守電は口調がお前と似ていた。そしてさっきの電話では完全にお前の口調だった。」
俺がそう言って強く飯島を見つめると飯島はハハッと愉快そうに笑った。
「何だか探偵さんみたいだなぁ。すごいねぇ。」
何が探偵だ。
余裕そうな顔見せやがって。
「ただの一般人の推測だよ、バカ野郎。」
俺の態度が気に食わなかったのか飯島はキレて俺のがら空きの脇腹に蹴りを入れやがった。
唾液やら胃液やらが競り上がって来て少しむせる。
「僕はバカ野郎なんかじゃないんだぁ!!」
もう一発蹴りを入れようとする飯島に俺は下がってすまんと謝る。
これ以上刺激しないほうがいいだろう。
いつ包丁が自分やまゆみの胸に突き立つかわからない。
飯島は俺が怯んだことに満足したのかニヤニヤと笑い出した。
しかし状況はさしてなにも変わっちゃいない。
どうにか逃げる隙を見つけないと。
「な、なんでお前は俺にストーカーなんてしたんだ?」
とっさに思い付いた事を口にすると飯島はそのまま笑いながら話し始めた。