推理~独身会社員~ (10/18)
少し安堵していた俺はすぐに現実に引き戻された。
『おかえりなさい。会社お疲れ様。今日は彼女も一緒みたいだね。うらやましいなぁ。少し妬けるよ。今日はせっかく君の部屋に行こうと思ったのになぁ。』
俺は途中まで留守電を聞くと、サンダルを突っかけて外に飛び出した。
後ろからまゆみの心配する声が聞こえたが、すぐに聞こえなくなる。
ストーカー野郎。
部屋まで着いて来やがった!
なめやがって、取っ捕まえてやる。
2階から錆びた階段をせわしく下る。
俺はゴミ捨て場まで全力で走った。
しかし、無情にもゴミ捨て場にやつはいなかった。
くそ…
何処だよ。
その時。
ポケットで携帯が鳴った。
番号は…非通知。
「……はい。」
『ダメだよ、焦っちゃ。部屋に行くって言ったじゃん。』
プーッ プーッ プーッ
携帯が切れる音が耳元で高く響いた。
全身から冷や汗が吹き出るのを感じる。
…まゆみが危ない!!!
俺は踵を返して全力で来た道を戻って行った。