推理~独身会社員~ (6/18)



「おはようございます。」


俺は小さく挨拶をしてオフィスの自分の席に着いた。



「おい、遠藤。ちょっと。」



上司が座ったばかりの俺の肩に手を置く。



俺は嫌な顔をしないようにして振り向いた。



「昨日作ってもらったこれだが、やり直しだ。こんなんじゃ会議にはとても使えない。」



そう言って上司は俺が昨日残業して作っていた資料をデスクの上に投げた。



50枚程ある資料は何枚かばらけてデスクの下にパラパラと落ちる。





この野郎、殺してやろうか。

「……すみませんでした。作り直します。」


なんて言えるわけもなく、俺は感情を押し殺して謝罪の言葉を口にした。




上司はそれを聞くともう一度俺の肩をポンッと叩いて自分の席へと戻っていった。




ふぅ。


寝不足やストーカーに並ぶくらいこいつもストレス源だよ。




俺は溜息を吐きながらデスクの下に落ちた資料を拾う。




ポンッ。


また肩に手が置かれた。



まだなんか用かよ!



今度は肩の手を払いながら振り返った。




「…ど、どうかしたの?」



肩を叩いたのは上司ではなく、



「…まゆみか。」



彼女のまゆみだった。



まゆみは手に持っている缶コーヒーを差し出して来た。



「あ、ありがとう。」


俺は缶コーヒーを受け取ってひとまずデスクに置いた。





「あたしも手伝うよ。」


まゆみはそう言ってデスクの下にある資料を拾ってくれた。



「わりいな。」


俺もまゆみと一緒に資料を拾う。



全部拾い終えた俺は資料をトントンッと整えてデスクのはじに置き、缶コーヒーを手に取って開けた。





「なんか顔やつれてない?疲れてるの?」



まゆみは心配そうに俺の顔を覗き込む。




俺は理由を話すか一瞬迷った。



しかし、やはり彼女には言わないといけないだろう。



まゆみは俺の部屋の鍵も持っているし、知らないままは危険だ。



俺は意を決して小声でまゆみに打ち明けた。



「実は俺……ストーカー被害にあってるかもしれないんだ。」