先生のヒミツ (22/25)
「あなたは誰なの……どうしてこんな事をするの……?」
震える声で私は問いかけた。
「質問しているのはこっちだよ」
中性的なその声は残酷さも含んでいた。
私の顔にタオルの様なものが掛けられた。
頭をひと回りタオルで巻かれた。
何をされるのかと手足をじたばたさせた。
しかし、手足を縛られた今、まさに手も足も出ない。
「質問に答えないと、こうなるから」
ーーーーーーキュッ。
水道の蛇口をひねる音……?
次の瞬間、私の顔に激しい水流が当てられた。
反射的に息を止める。
ホースで水をかけられているんだと気付いたが、だからといってどうする事も出来ない。
頭を左右に振って水流から逃れようとしても無駄だった。
たちまち顔はびしょ濡れになり、髪や服に水が染み込んでいく。
止めていた息もそう長くは保たない。
「ぷはぁっ……!」
息苦しくなり、機械的に息を吸い込んだ。
しかし、私の体に入ってきたのは酸素ではない。
「げほっ……!」
大量の水。
顔にタオルを巻かれているせいで、鼻に、口に、水が流れ込んできた。
またしても機械的に飲んだ水を吐き出す。
吐き出せば、次は吸い込んでしまう……
タオルに水が染み込んでいるせいで、呼吸をすれば水が入ってくる。
人間の身体の機能上、私は水を飲み続けた。
その間、酸素は取り入れられない……
くるしい……
地獄と現実の淵を彷徨った。
身体からフッと力が抜ける。
苦しいのに気持ちいいという感覚に落ちいるーーーーーー