先生のヒミツ (16/25)
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私は、必要になるかもしれないと予め用意しておいたメモを持って、応接室に戻った。
メモには楢崎君や地村君の進路先が書いてある。
大貫刑事たちのいる応接室の扉を開けた。
彼らが来た時の爽やかな雰囲気はなく、部屋全体にどんよりとした空気が沈殿していた。
「お待たせしました」
私は刑事2人の前に座ると、テーブルにメモを置いた。
俯いていた大貫刑事は鈍重な動きでメモを手に取った。
私の話を聞いて、気が滅入っているに違いない。
刑事たちがメモに目を通している間に茶菓子でも用意しようと席を立ったその時。
大貫刑事と青野刑事がお互いの顔を見合わせた。
「何かありましたか……?」
遠慮がちに気になって問いかけると、
「ここに書いてある事に間違いはありませんね?」
と聞き返された。
はい、と答える。
メモには男子生徒2人の進路先が書かれているくらいだ。
その記述を書き違えた覚えはなかった。
「楢崎 大地の進路先は東西第二高校で間違いないですね?」
「ええ、そうです」
刑事からの返答はなかった。
私は東西第二高校で思い当たる事があったので質問した。
「東西第二高校といえば、つい先日、生徒が変死したとかで……」
そこまで言ったところで、大貫刑事がこちらに鋭い視線を刺してきたので言葉を止めた。
「佐倉先生。今から私が話す事は内密にお願いします」
一体何なのか、と身構えながら頷いた。