先生のヒミツ (10/25)
特別講習が終わると、楢崎君と地村君はサッカーボールを持って外へ出て行きました。
楢崎君はサッカー部に入りたかったと言っていました。
今更、部活に入れないけど練習がしたいと。
彼はそう言って教室を出て行くのですが、私たちに気を遣ったのではないかと私は思っています。
というのも私となっちゃんが2人きりで会話ができる時間が毎回用意されていたからです。
奈子さんにとって、私との会話がいかに重要かを理解してくれていたのでしょう。
なっちゃんに彼氏が出来たと報告を受けてから、こうして特別講習を開くまで楢崎君の姿を見た事はありませんでした。
今までも気を遣ってくれていたのだなと、その時初めて気が付きました。
講習後に話す内容は恋愛相談……いえ、いわゆる「恋バナ」でした。
初めて彼氏が出来たのはいつ?
初めて手を繋いだのは?
初恋の相手は?
ファーストキスは何味?
今は彼氏いないの?
結婚は?
まるで私自身が青春時代に帰り、親友と内緒話しているような、懐かしい感覚になりました。
なっちゃんとのお喋りは、とても楽しかったです。
そんな恋バナをしていると、自ずと「そういう話」も出てきました。
「ねー、やよっちはさ……」
彼女は珍しく頬を赤らめ、しかし平然とした顔を保ちながら大人を困らせる質問を繰り出してきました。
「したことあるの?……えっち、とか」