刑事の決意 (17/18)
来客室というだけあって、ソファの座り心地はよかった。
日当たりの良い部屋。
窓から入った爽やかな5月の風が、白いカーテンを揺らす。
ソファに腰掛けた大貫と青野の前に、ガラスのコップに入った麦茶が置かれた。
「これはどうも。お気遣いなく」
大貫は礼を言い、佐倉に席を勧めた。
失礼します。と言い彼女はソファに腰を下ろした。
「お忙しいところお時間を取ってただきありがとうございます」
大貫はまず礼を述べた。
「いえ。昨日対応した職員から大まかなことは聞いております。白神奈子さんについて調べたいとか」
昨日の男性職員と違い、佐倉は丁寧な言葉遣いだった。
ショートカットで活発な印象を受けるが、なかなかの美人だ。
「ええ、白神奈子は中退をしたということは聞きました。その事情等を知りたい次第で参りました」
佐倉の対応に大貫も自然と丁寧な口調になった。
「おっしゃる通りです。彼女は学校を辞めました」
そう言ったあと、彼女は少し何かを躊躇ったように下を向き、口を閉じた。
躊躇うのも当然だ。
刑事が昔の教え子のことを尋ねに来たのだ。
迂闊に生徒の情報を漏らすわけにはいかないのだろう。
あちらとしては、その真意を知りたいはずだ。
大貫は1つの情報を明かした。
「白神奈子は、私の娘なんです」
佐倉の目が一瞬大きく開かれた。
「そうでしたか……」
何かを決心するように彼女は頷いた。