刑事の決意 (16/18)
朝、目覚めた大貫はシャワーを浴びた。
洗面所でヒゲを剃る。
鏡に映った自分の顔は別人のように、やつれていた。
冷蔵庫からウィダーインゼリーを取り出し、10秒で朝飯を済ませた。
一人暮らしだと、食事面は健康的とは言えない。
新しい服に着替え、自宅を出た。
車を運転し、青野に電話する。
「今日は直接、学校に行く。今からお前を迎えに行くから準備しとけよ。あと30分くらいだ」
「わかりました……」
たった今起きだしたのだろう、青野は寝ぼけた声で返事をした。
無事、青野を拾って中学校に到着した。
時刻は正午を過ぎた頃だった。
昨日と同じように学校の受付口で来客許可を取り、職員室へ向かった。
職員室は2階にあり、2人は階段を上っていた。
不意に後ろから声を掛けられた。
「大貫刑事、でしょうか」
若い女性の声だった。
大貫が振り返ると20代後半くらいのショートカットの女性が階段の下にいた。
手すりに手を掛けて彼らを見上げている。
「はい、私が大貫です」
「はじめまして」
そう言いながらその女性は階段を駆け上がってきた。
立ち止まり、ショートカットの髪を耳にかける。
そして胸に手を当て呼吸を整える仕草をした。
「わたしは佐倉と申します。白神奈子さんの担任をしておりました」
奈子の……担任。
大貫の胸に期待が膨らんだ。
娘のことを聞けるかもしれないという期待が。
2人は職員室の隣にある来客室へと招かれた。