刑事の決意 (15/18)





「白神奈子さん?何年前に卒業してますか?」

対応してくれた男性職員は煩わしそうにパソコンに何やら打ち込んだ。

卒業生のデータなどはパソコンで管理しているらしい。


3年前のはずです。白神でなく大貫という名字かもしれません」


大貫のその意味深な言葉に、職員は下心のある目になった。

名字が変わるイコール、そういうことだからだ。


「卒業生の名簿には載ってないですね……


「えっ、そんなはずはないんだが」


「どこか別の学校とお間違いではないですか?」


「おかしいな……


「あっ、ありましたよ。白神奈子さん」


大貫の心臓を打つ速度は早まった。
そして職員の次の言葉に息が止まった。


「白神奈子さん……中退してますね」



「そ……そんな……。転校ではなく?」

頭が真っ白になった。
引越しをするとは聞いていたが中退していたなんて。



「ええ、中退者リストに載ってましたから。中学3年に上がる前に辞めたようです」

職員は用は済んだとばかりに、パソコンの前から離れた。
それでお次は?というような顔で大貫たちに向き合う。


大貫に代わり、青野が口を開いた。


「当時の彼女の担任教諭は在校していませんか」

この職員では話にならないと判断したのだろう。
青野はキレの良い質問をした。


「ああ、調べないことにはわかりません」

非協力的な返事だった。


「でしたら、また明日お伺いしますのでそれまでに調べておいてください」

青野は勢いよくその職員を言いくるめた。



そして疲弊して帰ってきたというわけだ。

まさか、中退していたとは……


大貫はベッドに寝転んだままため息をつく。
頭は疲れているのに眠気が来ない。


どんな事実を知っても、必ず奈子を見つけだす。
大貫はそう自分に言い聞かせた。