刑事の決意 (18/18)
「それでは、私が知っていることを全てお話しします……その前にお伺いしておきたいことがございます」
「何でしょう」
「奈子さんは今どちらに」
真剣な眼差しの佐倉に、大貫は力なく首を左右に振った。
奈子が母子家庭だということは、担任教師なら重々承知しているに違いない。
大貫自身は、奈子が小学6年になる前に家を出ている。
事情を察したらしく、彼女は言葉を続けた。
「そうですか。彼女の現在については私にもお答えできませんが、少しでもお力になれることを祈ってお話しします」
大貫は大きく頷き、自分の中の決意を再確認した。
どんな事実を知っても、もう家族からは逃げない、と。