刑事の決意 (12/18)

大貫は車を署の前に止め、青野を待った。


ハンドルを握る手に力がこもる。


犯人を必ず突き止める。
大貫はそう決意した。


今回の殺人事件の犯人と、白神 奈子を探している人物が同じだと判明した。


金本が受け取った手紙に付いていた指紋と、白神 奈子の捜索依頼の手紙の指紋が一致したからだ。


さらに手紙に使われていたのはどちらも佐々木みのりのメモ帳だった。

先ほどどこかで見たと思ったのはその為だ。




「お待たせしました!」

青野が助手席に乗り込みシートベルトを締めた。


「青野、この事件厄介だぞ」


「ええ……そのようですね」


「多分、俺たちが佐々木みのりを追いかけても無駄だ。彼女が犯人である可能性はほぼゼロだ」



大貫は車を発進させた。



「おそらく犯人もそれを見越しているはずです」


「そうだろうな。佐々木みのりに容疑が集中するように仕組まれている。ただその目的はわからない」


「これからどうします?」


大貫はちらりと助手席の青野に目をやる。



「決まってるだろ。犯人は人探しをしてるんだ。俺たちが見つけてやれば、犯人と連絡が取れる」


「釣るんですか」

青野が慎重な声で問いかけてきた。
駆け引きをすると勘違いしたらしい。


「いや、白神奈子を見つけ出してから犯人に報告する。あの探偵部とやらを通してな」







……奈子。



大貫と青野はとある中学校へ向かった。



大貫はしばらく会っていない娘の顔を思い出していた。



犯人の尻尾を掴んでやる、必ず。


その決意は固かった。