刑事の決意 (11/18)
大貫は鑑識結果が出るまで気分を落ち着かせる事にした。
思いもよらない所から大貫にとって重要な人物の名前が出てきたせいで気持ちが高ぶっていたのだ。
彼は喫煙所に入り、タバコに火をつける。
吐き出した灰色の煙が、目の前に漂う。
さて、あの手紙から、誰の指紋が出るのか……
白神 奈子の捜索を依頼したのは誰なのか……
すぐに1本目のタバコを吸い終えた。
気が急いている証拠だ。
2本目に火をつける。
すでに被害者と同じクラスの生徒の指紋は全て採取している。
学校での指紋採取は容易い。
机に付いた指紋を取ればいいだけ……
……無許可なのは漏らしてはいけない秘密だが。
大貫はジリジリした気持ちを抑えるようにタバコを吸ってはゆっくりと吐き出した。
果報は寝て待て、だな。
そういえば例の手紙。
手紙が書かれていた紙の質や罫線、どこかで見覚えがあるな……
その時、ケータイが鳴った。
表示を見ると、青野からだった。
「おう青野。結果出たのか」
「はい、出ましたよ。結果は……」
大貫を補佐している見習いの若い刑事は、残念そうな口調で鑑識結果を告げた。
「結果は……一致しました」
「何っ!?誰の!誰の指紋と一致したんだ!」
「またしても、佐々木みのり……です」
大貫は混乱した。
しかしその直後、閃いた。
「青野、署の前で車を出して待ってる!すぐに来い!」
大貫はタバコを咥えたまま、喫煙室を飛び出した。
……犯人は強敵だ。