刑事の決意 (4/18)
金本のカバンの中から発見されたのは次のような手紙だ。
『放課後、6時に教室に来てください。話したいことがあります。待ってるね!佐々木みのり』
実際に金本はこの手紙を読んだのは間違いないだろう。
待ち合わせ場所である教室に向かう途中に、身体の自由を奪われトイレへと引きずられた。
佐々木みのりの事情聴取の際、彼女に飲み物を勧めた。
紙コップに入ったお茶を彼女は何も怪しまず飲んでくれた。
薬の類を混入したわけではない。
紙コップから彼女の指紋を採取したのだ。
そしてそれは金本のカバンから見つかった手紙に、着いていた指紋と一致した。
もし佐々木みのりが犯人なら、自分の名前が現場に残るようなことはしないだろう……
という我々の読みを逆手に取ったのでは?
それは考えすぎだとすぐに判明した。
佐々木みのりの身柄を確保する為に夫人警官が向かったが、それに対する彼女の反応に怪しい点はなかった。
彼女は身の潔白を主張した。
あれは演技でもないし、ましてや彼女は人の裏をかけるような頭脳ではなさそうだった。
佐々木みのりのアリバイが確認され、容疑が晴れた。
彼女が金本の死亡推定時刻に、自宅付近の本屋さんに居たことが証明されている。
何者かが佐々木みのりの名前を騙り、金本を誘き寄せた。
単純に考えてこれが最も有力な推理であると落ち着いた。
頭を悩ませた結果、1つの仮定にたどり着く。
動機のある人間がいない。