女の友情 (25/26)
みのりは1人、上りのエスカレーターに乗ってきた。
私は慌てて近くにあった柱の陰に隠れた。
しばらくすると、目の前をみのりが駆けていく。
そしてパスタのお店に入っていった。
何か忘れ物をしたのだろうか。
すぐに店から出てきたみのりは、手にスマホを握っている。
どうやらお店に置き忘れていたようだ。
再び私の目の前を彼女は通り過ぎる。
私はホッと胸を撫で下ろした。
見つからなくてよかった……
私のスマホが振動した。
LINEかな?
誰からだろう。
私はスマホを取り出し画面を見た。
『どうして来たの?』
甘橋さんからだった。
私は慌てて周囲を見回す。
甘橋さんの姿はない。
私がみのりをエスカレーターの下に見つけた時、甘橋さんも近くにいたのかもしれない。
きっとそうだ。
どうして来たの?
……私にもわからないよ。
私は柱にもたれたまま、その場にしゃがみ込んだ。
なんで私がこんな目に遭うの……