女の友情 (11/26)
それを聞いた時、私は大貫刑事が紙コップを手に取っていたのを思い出した。
後で聞いた話によると、みのりは事情聴取の際、飲み物を勧められたという。
その時に彼女が使った紙コップがそれだったのだ。
指紋の一致。
金本が殺害された時刻にアリバイがなかった事。
この2つが、みのりが疑われた理由だった。
ではどのようにして疑いが晴れたか。
単純なことだった。
みのりが立ち寄った本屋さんの監視カメラに、彼女の姿がしっかりと映っていた事が判明したのだ。
そしてみのりは解放され、疲れ切った表情で戻ってきたというわけだ。
その日彼女は部活を欠席した。
そして今日に至るわけだ。
「ほんと警察ってバカ」
頬を膨らませて彼女は言う。
「まあまあ、よかったじゃない。疑いも晴れたし、もうみのりには関係ない事だよ!」
私は勤めて明るく振舞った。
この一件が、『警告』である事に気づく術もなく、放課後となった。