女の友情 (8/26)

「でも心配しなくていい」

大貫刑事は優しく言う。

「君が佐々木さんをかばっている訳ではないということがよく分った」


私は首を左右に振った。

「…い、意味がわかりません」


「君は佐々木さんから話を聞いた。金本君のカバンからメモが出てきた話を。その後この事情聴取に呼び出された。君は佐々木さんの無実を証明できる人物だ。だから私の質問にすらすらと答えた……そうだろう?」


図星だった。
昨日、私とみのりは一緒に学校を出た。
家の近くまで一緒だったのだ。

だから、刑事の質問に疑問も持たず、ありのままを答えたのだ。


「その通りです……でも。だから何だって言うんです?」

私は攻撃的に出た。


大貫刑事は机の上に置いてあった紙コップを手に取った。

それを振りながら私の問いに答える。

「教えてあげよう、君が佐々木さんと共犯という線はなくなった……ということがわかったんだ」


「そんな!まるでみのりが犯人みたいな言い方っ……」



その時、大貫刑事の隣にいた若い刑事のケータイが鳴る。
若い刑事は電話に出ると、大貫刑事に小声で何かを伝えた。


「よし、君はもう教室に戻りたまえ」

私は強制的に部屋を追い出された。


若い刑事が小声で言ったことが、私の耳に残っている。



確かにこう聞こえた。

「……指紋が一致しました」