胎児のゆくえ (7/10)
そうだ、生まれるんだ。
人が誰かと出会った時に。
それが直接的であっても間接的であっても、人と人が関わる時、そこに人間関係が『生まれる』んだ。
生まれた人間関係は、言うなれば生き物のよう。
その生き物は「友情」にも成り得るし、あるいは「怨恨」のように悪に姿を変えることもある。
男女が出会い、そこに愛と胎児が宿り、子どもが大きくなるように。
友情が芽生え、傷付けあったり、仲を深めていくように。
人間関係という『胎児』は、いつ、誰の元に生まれるかわからない。
子が親を選べないのと同じ。
無責任な行為のせいで産まれてしまう子もいる。
そして、どんな風に成長するかはわからない。
天使となるか悪魔となるか。
私たちの人生は絶え間なく生まれくる胎児のゆくえを、大切に見守り、育てていく、というものなのかもしれない……。