胎児のゆくえ

「で、どうなんだ日村」

篠崎と山科は詰め寄った。


「実は……」


何かを躊躇していた様子の日村も観念したようだ。
自分がいじめられていることを白状した。



金本 武雄という生徒に、入学して早々、嫌がらせを受けていたそうだ。


最近エスカレートしてきた、ということだ。

話を聞いている限り、日村がいじめられる理由は特に見当たらない。

金本はただ単に弱いものいじめをしているだけのようだ。



「そうだったのか。気付いてやれなくて悪かった」

山科が謝罪する。
彼は仲間想いである。

「いえ、先輩方に迷惑を掛けたくなくて。すみません」


「今度何かあったら、僕たちを頼ってくれよ」


「そうだぜ！俺たちに相談してくれよな。いじめは陰キャラの定めだからさ！いじめは定め！」

山科の最後の一言でなぜか3人で笑った。


「よし、暗くなってきたし今日の活動は終了としようか」