涙の退院 (4/5)
エレベーターに乗り、ロビーに到着した。
繋がれていた手は解けている。
エレベーターに乗って、ロビーの階数ボタンを押す時に、放した。
ロビーを見渡した。
大貫刑事がいた。
その足元には3歳くらいの女の子がいる。
そして大貫刑事の横に、見覚えのある懐かしい顔が3人並んでいた。
爽やかな笑顔を浮かべる地村君。
少し申し訳なさそうに会釈をする楢崎大地くん。
そして……
「やよっち!」
私に抱きついてきたのは、白神奈子、なっちゃんだ。
その身体の感触から女性らしくなったことを知る。
「めちゃくちゃ会いたかった!」
耳元で懐かしい声が、私の鼓膜を振動させる。
「なっちゃん!」
私は全身で彼女の身体を抱きしめた。
長い間、傷ついていた心が癒された。