独白の声 (3/14)
授業中、私は常に上の空だった。
甘橋さんのことが頭から離れない。
昨日の帰り道のことが思い出される。
大貫刑事は甘橋さんを探しているようだった。
甘橋さんは金本君が殺された件に関わっていたのだろうか。
となれば、白神奈子さんを探していたヨシキ君とも関わりがあったということ。
甘橋さんは今どこにいるのだろう。
今朝、校内に大貫刑事と青野さんを見た。
校門を見張っていたようだ。
青野さんが無事だったことを知り、安心した。
甘橋さんを待ち伏せしていたに違いない。
ということは昨日の段階では、結局彼女を捕まえられなかったということ。
刑事が校門を見張っていた。
登校してくる生徒の中に甘橋さんを探していた。
そして今日、教室には甘橋さんの姿はないという状況。
ということは、2つの事が考えられる。
甘橋さんはどこかへ逃げ、もう学校に姿を現さないか。
それとも、彼女は校門で刑事に捕らえられ連行されたか。
「はあ……」
ここまで考えた事である事に気がつく。
私がいくら推理を働かせたからといって、何か事が進展するわけではないということに。
私は振り回されてばかりだ……
授業の内容は聞き流していたが、とりあえず板書は写しておくか、とノートを開いた。
部活を辞めたのに成績が落ちたら、母になんと言われるか……。
何度目かのため息を吐き、シャーペンをカチカチとノックして芯を出した。
黒板に目をやる。
その時だった______
ピンポンパンポーン____……
黒板の上にあるスピーカーから、アナウンスのメロディーが流れた。
唐突に鳴り響いた音に、誰もがざわついた。
こんな朝から放送……?
疑問に思いながらも、大半の生徒がそうしているように、私もスピーカーを見つめた。