この筋書きの結末 (28/31)
「軽自動車だと……」
予想外だった。
大貫の脳裏に1人の若者の顔が浮かぶ。
……あいつなら、やりかねない。
「ナンバープレートが黄色だったから覚えてました」
大貫の要望に応えられたのが嬉しかったのか、小原は得意げに言った。
「ありがとう小原さん、後は我々で追ってみるよ」
そう言ったものの、今後の事について迷った。
そんな大貫の様子を見て、小原も戸惑っていた。
甘橋ゆきの事を詳しく聞きたいに違いない。
どうすればいい……
どうやってあのバカ男の車を見つける……?
とりあえず青野に通達する必要がある。
ケータイを取り出し、電話を掛けた。
小原は不安げに大貫を見上げている。
Prrrrr…Prrrrr…Prrrrr…
呼出音が続く。
どうした……何故電話に出ない……
Prrrrr…Prrrrr…Prrrrr…______
ブツリと呼出音が止み、『只今、電話に出る事は出来ません』という音声が流れた。
「青野……」
嫌な予感がした。
「何かあったんですか?」
「小原さん、君はもう家に帰りなさい。後はなんとかするから」
そう言い残し、大貫は立ち去ろうとした。
その時____________
ピリリリ……
手に持っていたケータイが着信を告げた。
大貫は小原と顔を見合わせた。
画面を見る。
『青野』と表示されていた。
少し安心して、電話に出た。
「青野、何かあったのか?」
落ち着いて呼び掛けた。
『……』
返事がない。
「……もしもし、青野?何があったんだ……?」
『……ふふっ』
笑い声がした。
しかし青野のものではない。
「お前……甘橋ゆき、だな?」
ケータイを握る手に力がこもった。