この筋書きの結末 (26/31)

駅の周辺に辿り着いた。

交通量が最も多い時間帯。
車で移動しなくて良かったと思った。


駅に隣接するショッピングモールの出入り口などにも警戒の目を向け、甘橋ゆきを探した。


駅の周辺には放課後の自由を楽しむ高校生が集まるらしく、特定の人物を見つけ出すのは極めて困難と言えた。



大貫は駅から学校方面へ向かった。
ヨシキの計画が失敗に終わった今、その共犯者がどのように動くかなど見当もつかなかった。


下校途中と思われる女子生徒とすれ違う度、大貫はその娘たちの顔を確認した。

顔を見られた女子生徒達は怪訝な表情を大貫に向けて、通り過ぎていく。




駅から遠ざかるにつれ、人も交通量も減ってきた。
道の脇には団地が並ぶ。

前方から1人で歩く女子生徒の姿が見えた。
少し期待したが、すぐに甘橋ゆきではないとわかりがっかりした。

たしか、あんなに髪は短くない。



その女子生徒とすれ違う時に顔を確認するか否か迷った。
第三者からすれば、中年の男が女子高生を物色しているみたいではないか。


しかし手抜かりがあっては意味がない。
複雑な気持ちになりながらも、前方から近づいてくる彼女の顔に目を向けた。




女子生徒は大貫と目が合うと、ぴたりと立ち止まった。





「あ……刑事さん」

女子生徒は言った。



刑事さんと呼ばれ、大貫は驚いた。
慌てて女子生徒の顔をよく見る。





「ああ。君は……小原さん!」