この筋書きの結末 (25/31)



金本家から出て約30分後、大貫は甘橋ゆきの自宅へ赴いていた。

学校に彼女の住所を確認し、車を飛ばしたのだった。
立派な和風の一軒家だった。

しかし、甘橋家を訪問した彼らは不安に駆られることになった。


甘橋ゆきはまだ帰宅していないと言われたのだ。



「そろそろ帰ってこられると思いますよ」

大貫たちを出迎えたのは丁寧な言葉遣いの老婦人だった。

女の年齢は定年を迎えているように思える。
そして洋服ではなく、和服を着こなしている。

甘橋ゆきの祖母らしい。



「あのう……あの子が何か……?」

不安げな老婦人は大貫に問いかけてきたが、今は時間がない。



「いえ、ご安心を。事情は後ほどご説明致します」

そして2人は甘橋家から彼女が通学路として通りそうな道を辿ることにしたのだ。




「時間的にはもう学校から下校しているはずです。寄り道をしていなければ、家の前で待ち伏せしているのもアリかと……

と言いながら腕時計を見る青野。



「そうだな……じゃあ、二手に分かれよう。お前は住宅地を抜けて学校方面へ。俺は迂回して駅を経由する大通りから行く」

大貫は青野に指示を出した。
部下が住宅地に入っていくのを見送る。



青野が進んだ道とは別のルートで住宅地を抜けた大貫は交通量の多い大通りへと出た。



この道路沿いに進んでいけば駅に到着する。
寄り道をしている可能性も無くはない。




あんなに大きな家に住んでいるお嬢様を追うことになるとは……