この筋書きの結末 (23/31)
「それでは実際犯人は甘橋ゆきの名前を出して金本を誘い出した、ということですよね……」
青野は顔を歪めながら、情報を整理する。
「その通りだ、間違いない」
「佐々木みのりが容疑者から外れた時点で、あの手紙はデタラメだと捨て駒にしていました」
あの手紙は犯人が容疑者から逃れる為の巧妙な罠だったのだ。
『放課後、6時に教室に来てください。話したいことがあります。待ってるね!佐々木みのり』
青野の言う通り、この手紙から第1に佐々木みのりを疑いが掛かる。
しかし、あっさりと彼女の無実は証明される。
と同時にこの手紙はデタラメであると認識してしまった。
デタラメを更に疑うなど、出来るはずもなかった。
我々が証拠にならないと、捨ててしまうものの中に真実を隠していたのだ。
「やられたよ、盲点だった」
腕組みをし、さらに推理を進めようと目を閉じる。
「……ま、待って下さい。じゃあ犯人は金本が甘橋をストーカーしていたことを知っていたんですよね?」
青野が落ち着きなく声を上げる。
「……そうだ」
大貫は相槌を打つ。
後輩の推理を促した。
「ストーカー行為を知っていた。しかし、このアルバムの存在は知らなかった……そうですよね?」
「恐らくそうだ」
「そう言い切れる理由があります。このアルバムの存在が消されていないこと、それがその証拠です。だから、それはつまり……」