この筋書きの結末 (9/31)
誰も使用していない会議室で、大貫は青野に事のあらましを話した。
中村から聞き出した話と、奈子の証言により成り立った話だ。
話の主要人物は、
白神奈子、白神由基、中村、そして謎の美少女。
謎の美少女に関しては、ヨシキと繋がりのある人物と考えて間違いなさそうだ。
話は、この謎の美少女を中村がナンパするところから始まる。
中村は街で偶然見つけた女の子に声を掛けた。いわゆるナンパだ。
彼女は何かを探している様子だったという。
中村は探し物を理由に彼女に話し掛けたのだ。
すると彼女はスマホを落としたかもしれないという事情を話した。
結局、スマホは見つからずに終わったが、中村のナンパは成功する事になった。
彼女はアユと名乗り、中村に1枚のメモを渡してきた。
そこには住所が書かれていたという。
もちろんその住所が奈子の自宅のものであったわけだ。
「お礼がしたいの。明日、ここに車で迎えに来てくれない?いつでも出掛けられる準備してるし。だから車も駐車するときはエンジン掛けっぱなしでいいよ。絶対来てね」
そう言い残し、アユは去ったという。
普通であれば、怪しむところであるが、中村という若者はそれを鵜呑みにした。
何も怪しまなかったのだろうか。
それについて中村はこう答えている。
『マジで可愛かったんだってば!生まれて初めて見たぜ!美少女だから!刑事さんも絶対惚れてるって!迎えに行っちゃうって、絶対!』
アユからすれば、中村の様な男は操りやすかっただろう。
無論、アユも中村を狙ってスマホを無くした芝居をしていたに違いない。
そして中村は軽自動車で迎えに上がったというわけだ。
これが中村という若者が奈子の自宅を訪れた経緯である。
アユという謎の美少女についても青野に話した。
アユという名前は偽名だろう。
年齢は高校生か大学生くらい。
つまり10代後半といったところ。
大人っぽい雰囲気であったが見た目よりも若いかもしれないという。
女性は服装や髪型で印象が大きく変わるので、正確に判断する事は誰もできないだろう。
アユの髪型は、肩ぐらいまでの黒髪、ストレート。
猫のような目。
身長はおよそ160cm。
とにかく顔が整っているらしい。
続いて話は、中村が奈子の自宅を訪れてからの、ヨシキの動向に関する事に移った。