この筋書きの結末 (8/31)
青野に代わり、大貫が取り調べを済ませた。
要領を得ない中村の返答に苦戦しながらもなんとか話の筋が構築できた。
奈子と美月、そして夏江はこちらで保護していた。
現状が把握できるまでは安全な場所を確保しなければ……
喫煙所で一服していた大貫の隣に、疲労困憊の青野が腰を下ろした。
「ごくろうさん」
「いえ。取り調べ、代わってもらってすみません」
「かまわんよ、お前も吸うか?」
大貫はタバコの箱を青野に差し出した。
彼は一旦目を逸らし、そしてそれを手に取った。
続けてライターを手渡した。
それも受け取った青野は、一旦目を伏せた。
タバコの箱を開ける気配もなく、ライターと一緒に握りしめている。
かなり疲れているようだ。
そして彼は、ゆっくりと瞼を開き首を左右に振った。
「……タバコはやめておきます。それより僕は、取り調べの結果が知りたいです」
無理をするな、そう言いたかったが、彼の疲れた顔を見ていると言葉が出なかった。
「わかった、俺の推理とまとめて話すよ」
まだ火をつけたばかりのタバコを灰皿で揉み消し、大貫は腰を上げた。
「ありがとうございます」
青野も立ち上がり、ライターを差し出してきた。
「大貫さん、もう空ですよ」
そう言って青野はタバコの箱を振って見せた。
それは彼の手の中でクシャクシャに握りつぶされた。
「すまんな。ははは……」
どうやら俺も疲れてるらしい、と大貫は自嘲して笑った。