神出鬼没 (3/11)
白神由基(シラガミ ヨシキ)
推定身長:165cm
身体的特徴 :色白、痩せ型、切れ長の目、左目の下にホクロ
目撃時の服装:野球帽のようなキャップを前後逆さにして被っている
経歴:小学校6年生の頃、姿を消す。その後の行方は不明とされていたが______
「大した情報じゃないですよね」
青野が資料を横から覗き込んできた。
「まあ、そうだな。しかし、調べれば調べるほどヨシキが疑わしい」
「……あくまでも大貫さんの息子さんです、信じてあげないんですか」
青野が心配そうに言った。
「信じてあげたいさ、息子は無実だってな。でも、奈子も俺と同じ意見らしい」
大貫はもう一本タバコに火をつけた。
まだ幼さの残る娘の顔を思い出した。
彼女は大貫が突然訪ねてきた事には当然驚いていた。
地村から奈子の住所を教えてもらい、すぐに訪ねたのだった。
そして、事件のあらましと今後の捜査方針を簡単に説明しておいたのだ。
父親と娘の再開は感動的なものとは言い難いものだった。
昨日の午前中、大貫と青野は白神奈子の現在の自宅を訪れていた。
玄関扉を前にし、大貫は緊張していた。
表札などはなく、ここが本当に奈子の住まいなのか半信半疑だった。
ピンポン______
呼び鈴を鳴らす。
扉の内側で、人の動く気配がした。
しかし、反応はない。
ドアスコープでこちらの様子を伺っているのだろう。
「警察の者ですが」
青野が少し大きめの声で呼びかけた。
緊張感が増す。
扉の内側でガチャガチャと音がした。
ドアチェーンを掛けたようだ。
そして扉が開いた。
少しの隙間から顔を覗かせたのは、マスクをした女性。
左目の下にホクロが見える。
それは紛れもなく大貫の娘、奈子であった。
彼女は大貫の顔を見るなり、目と口を丸くした。
「……パ、パパ?」
4年ぶりに聴いた娘の声は、風邪のせいかマスクのせいか、か細く聴こえた。