探偵部の活動日誌② (6/13)

「始まりは金本武雄君が殺された事件だ。学校側の保身のため、世間には変死事件として公表しているが、あれは紛れも無く殺人だ」

険しい表情で大貫刑事は語り始めた。


「はい、日村もそう言っていました」



「そうだった、日村君が第一発見者だったな。彼から現場の状況を聞いたかい?」



「ええ。不可解だと思いました。変死と言われても仕方がないです」



刑事は僕のコメントを受けて大きく頷いた。

「ああ、実に不可解だ。金本君の死因は窒息死だった。不可解なのは……



「なぜそんな殺し方をしたのか、ですか?」

僕は刑事の言葉を先読みして口に出した。



「鋭いね、その通りだ。ただ単に殺すのなら首を絞めるなり方法はあったはずだ」



……僕たちにはわかりませんでした、なぜあんな殺し方なのか、どうやって殺したのか」

僕は刑事が真相を話してくれることを期待して、そう言った。



「そうだろうね……篠崎君、改めて申しつけておくけれど、今私が話していることは他言無用でお願いするよ」

眉尻を下げ、大貫刑事は顔の前で手を合わせた。


「も、もちろんです」


ついに真相が……



「ありがとう、じゃあ話を戻す。まず、我々が突き止めた殺害方法を話そう……



大貫刑事は金本がどのように殺されたのかを話してくれた。

それを聞いて、やはり警察ともなれば殺害方法を割り出すことなど容易いことなんだと思い知らされた。

刑事の話を聞いて自分の中で情報をまとめた。





現場は校舎4階の男子トイレ。

被害者である金本の口内から、現場にあった「ぞうきん」の繊維が発見されている。

そのぞうきんはトイレ内にある掃除用具入れにあったものであると判明している。
そのぞうきんからは被害者の唾液が検出されている。



そして被害者の喉には特殊な傷跡。
それはスタンガンの攻撃により出来たもの。

丁度、殺害時刻に日村が『光』 を目撃している。
その光は、スタンガンと同様に防犯グッズの類で、『フラッシュライト』というものではないかと推測されている。



この被害状況から、フラッシュライトで被害者の目を眩ませ、怯んだ隙にスタンガンで喉を一撃した。


その推理にほぼ間違いはないのだろう。



「それから被害者の身体を拘束し、洋式の便器にもたせかけた。そして、ぞうきんを口に詰めた。そして……





想像しただけで苦しくなった。

この時点で被害者はまだ死んでいない。
刑事の口から語られる話の続きは気になるが、その反面もうこれ以上はやめてくれという気持ちもあった。



そんな僕の気持ちに反して大貫刑事は淡々と話を続けた。




僕は9割の恐怖心と1割の好奇心で、残酷な話に耳を傾けた。