探偵部の活動日誌② (5/13)

「そういえば、さっき君は小原さんが重要な鍵を握る人物だと言っていたが。由基の事と何か関係があるのかい?」


先ほどまでとは違い、柔らかい雰囲気で大貫刑事は話してくれた。

刑事としてではなく、白神姉弟の親として接してくれているのだろう。



「そうです。厳密に言うと、小原さんの友達が由基君と面識があったそうです」



「面識が『あった』、ということは今はないんだね?」

少しがっかりしたように大貫さんは言う。



「はい、今は……ないですね」

答えるこちらも声のトーンが落ちる。
期待を裏切ってしまったようで申し訳ない気持ちになった。


「そうか……



「ただ……この辺りにいるんじゃないかと思います」

だんだん自信がなくなってくるのを自覚した。
僕は白神由基の居場所を知っているわけではないのだ。



「その根拠は?」



「小原さんの友達、笹峰万里子という子なんですが……2週間くらい前に会ったそうなんです、駅前で」

大貫さんの力になるかはわからなかったが、自分の知っていることを1から話すことにした。



笹峰万里子と由基君の関係について話した。


小原琴音の小学生時代の友達であること。

万里子は転校生で、転校生前の学校で大貫由基君とクラスメイトだったこと。


そして万里子が駅前で由基君と再会したこと……





「なるほど、我々の知らないところでそんなことが……すると小原さんと由基は直接的ではなくとも間接的には繋がりがあったということか」

大貫さんは眉間にしわを寄せ腕を組んだ。




「妙な偶然、ですよね」

僕は素直な感想を述べた。



「偶然か……私はそうは思わないな」

大貫刑事はそう言った後、胸ポケットからケータイを取り出した。


「おい、青野。そこにいる小原琴音さんを連れて駅へ向かってくれ______それと小原さんともう一人同行させてくれ。笹峰万里子と言えば伝わるから。そして由基と再会した場所の確認をしてくれ______ああ、よろしく頼む」


電話の相手はもう一人の若い刑事のようだ。
早速、由基君の足取りを調べるらしい。



「篠崎君、話してくれてありがとう」



「いえ、大した手がかりじゃなくて、すみません……



「小さな事を積み重ねていくんだよ。さて……




大貫刑事は僕に向き直ると、深呼吸をしてから言った。


「手配は済んだ。少し事件について話そう。今度はこちらが情報を提供する番だ」