君のためなら (23/26)

「探偵部様へ」から始まるその依頼文は細かいけれど丁寧な字と文章で綴られていた。


どうやら依頼主は、白神奈子という人物を探しているようだ。

私自身、その人物の心当たりはなかった。




ただ1点、私の目を止めたキーワードがあった。




『シラガミ ヨシキ』



白神奈子の弟なる人物の名前。
『ヨシキ』という名前に引っかかったのだ。


何か予感めいたものを感じていた。

まさか、まさかね……




私は笹峰 万里子にLINEした。
彼女にあることを確認したかったからだ。











すぐに万里子から返事が返ってきた。


『ヨっくんの本名?ヨシキ君だよ』



「ちなみに漢字でどう書くの?」



『何で急にそんな事聞くの?』



「気になることがあって……」



『しょうがないなあ。由基でヨシキって読むよ』




……同じだ。
鼓動が早まる。
早とちりはしちゃダメだ……
もし名字が同じだった時は……




「ありがとう!ちなみに名字は……?」



私の質問に対する答えが返ってきた。
その返事を見て、一瞬頭がフリーズした。



ヨっくんの名字は白神ではなかった。
でも……



これは偶然……?
あの人と何か関係があるのかな……



わからない……
私の頭の中で様々な可能性が膨れ上がった。


探偵部の人たちとLINE交換しとけばよかった。




もう一度、万里子からのLINEに目を落とす。

再び正体不明の予感が胸に流れ込んでくる。
万里子からの返事にはこう書かれていた。










『名字は大貫だよ!』