君のためなら (22/26)
下校時刻になり、私たちは強制的に学校から追い出された。
私が口にした新事実に、彼らは絶句していた。
その新事実について翌日話し合う約束がなされた。
もちろん私も参加することになった。
探偵部の3人と別れ、私は帰宅した。
「ただいま~」
自宅の玄関を開け、声をかけた。
いつもなら返事が返ってくるが、今日は無い。
リビングに行くと、食卓に母が座っていた。
食卓の上にはサランラップが掛けられた晩ご飯であろう食事。
「遅かったわね」
母の口調は穏やかではなかった。
「ごめん、友達と話し込んじゃってさ」
苦笑いで答える。
「部活はどうしたの?今日は行ってないみたいだけど」
部屋にダンス部のジャージを置きっぱなしにしていたことを思い出した。
朝から部活に行く気がなかったからだ。
「……うん。行きたくなくって」
すると母はため息をついた。
「部活に行っても行かなくても琴音の自由。でもね、部活に行ってもないのにこんな時間まで……心配するじゃない」
「……いいじゃん別に。まだ7時半だし」
素直に謝ればいいものを、私は反発して口答えしてしまった。
「もう好きにしなさいっ!」
母は勢いよく立ち上がり、寝室に入ってしまった。
何に腹を立てているのかわからない。
食欲が湧かない。
私も自室に行き、扉をバタンと閉めた。
椅子に座ると同時に深いため息が出た。
カバンから紙を取り出した。
探偵部に届けられた例の依頼の手紙のコピーだ。
家に持って帰って目を通しておいてほしいと篠崎さんに言われたのだ。
気分を落ち着けるため、ベッドに寝転び依頼文に目を通した。