君のためなら (11/26)
「放課後、部活行くの?」
「えっ……」
甘橋さんの唐突な質問に一瞬詰まる。
「ダンス部よ。行くの?」
「……行かない、かな」
苦笑いと一緒に返事を返す。
「じゃあさ、放課後に少し話さない?」
意外なお誘いだった。
けれども私はふたつ返事でOKした。
何か話したいことでもあるのだろうか。
やっぱり一昨日のダブルデートのことかな。
謝られるのかな。
私の返事を聞いて、甘橋さんは満足げに頷くとサッと姿勢を元に戻した。
細くてスタイル良いなあ……
なんか良い匂いするし。
甘橋さんには敵わない。
改めてそう思った。
唯一勝っている点は、胸。
甘橋さんは誰が見ても貧乳だ。
……などと毒づいている自分に嫌気がさした。
私の席に良い匂いを残して、彼女は颯爽と席に着席した。
その直後、タイミング良くみのりが教室に入ってきた。
みのりは甘橋さんが私と話していたなんて微塵も感じてない様子だった。
しばらくして始業のチャイムが鳴った。
それ以降の授業は上の空だった。
甘橋さんが何を話したいのかが気になって仕方なかったからだ。
話ってなんだろ……
甘橋さんシャンプー何使ってるんだろう……
どうでも良いことにまで考えが及び、やっと放課後を迎えた。