0016 葛飾 アンジュ 蝶 編 (36/79)
「落ち着いて」
上半身だけを起こし、いきり立つジュリアにフジコ先生は少し屈んで、目線を合わせてきた。
「SCMがある限り 私は彼を裏切れない」
「ジュリアは SCMが無くてもリュウオウ様に着いて行く」
SCMが無くても?
目が合った瞬間、何も言わないフジコ先生の表情で彼女の思考が分かった気がした。
果たして本当にそうかしら?
きっと、ジュリアの発言でそう思ったに違いない。
ジュリアの今の思いは全て、SCMがそうさせてるの?そりゃきっかけはSCMだし、始めは嫌々だったけど。
今のジュリアは、リュウオウ様の為なら何も怖くない。
けど、ただ沈黙と冷静を守るフジコ先生の様子も手伝ってさ、自分の中の不安が広がるの。
わかんなくなってきた。よくわかんない。
胸元に手を突っ込み、ブラの間に取り付けたシークレットポケットからSCMを取り出す。
「ちょっと」
ジュリアはSCMを口の中に取り付けようとした。
「止めなさい」
フジコ先生がそれを止める。北ミナミには、どうせバレているんだから別にいいじゃない。
「別に校内で付けるなとは言われてない!」
パチンッ
いきなり頬を叩かれた。
一瞬、何が起きたか分からなかった。驚きの後に痛みが広がる。