0016 葛飾 アンジュ 蝶 編 (34/79)
北ミナミをさらう。決行は放課後。
幸い、家庭科室は1階で、しかも学校の敷地内でも外側の方。
夕方までに中央さん、それに文京ゼンイチと目黒マサカズを待機させ、ジュリアとフジコ先生で家庭科室から、どうにかこうにか北ミナミを外に連れ出す。
万が一 黒反応がいても、大人5人がかりで捕まえれば何とかなる。結局、力づくで奴隷にするのが安牌(あんぱい)なんだ。
通信が終わって、ジュリアがベッドに入ろうとすると、フジコ先生が枕元にやって来た。
「そういえば この間 渡した検査薬 使った?」
妊娠検査薬。
「うん」
「どうだった?」
どうだったって陽性だったよ。バッチリ99%の確立で赤ちゃんが出来てたよ。既に受け止めた事なのに、いざ人に話すと躊躇ってしまう。
やましい気持ちとかじゃない。むしろ誇りに近い感覚すらある。
ただフジコ先生にその事を言ったら、ゆくゆくリュウオウ様のマイナスになったりするんじゃないかという心配があるんだ。
ジュリアが言葉に困っていると、フジコ先生は何を察したのかそのまま話し続けてきた。
「相手は 新宿セイヤ?」
表情をわずかにも変えない。びっくりして欲しい訳じゃないけど、冷静過ぎる彼女にジュリアが動じる。
「違う」
ジュリアはそう言って首を振った。
「まさか リュウオウ?」
フジコ先生の答えに、保健室はゴポゴポと鳴る加湿機の音だけになる。