0016 葛飾 アンジュ 蝶 編 (33/79)
「ちゅ 中央さんは」
「今までも似た様な汚い真似をして来たからな ゼンイチにでもやらせればいいんじゃないか?」
ゼンイチ、文京ゼンイチ。
喧嘩屋で、元ズシオウマルの奴隷。
「確かに汚い仕事なら得意そうだけど」
「ジュリア 何か問題でもあるのか?」
中央さんの指摘に、一瞬黙る。
人をさらうのは別にいい。リュウオウ様の為だし、SCMが関われば悪い事も麻痺しちゃってる部分もある。
けど、それがフジコ先生の提案っていうのが気に入らない。更に、そんな事言ったら間違いなくリュウオウ様に嫌われる。
ジュリアの中のジレンマが、リュウオウ様にとって不快になる事だなんて分かってる。
「特に 何も」
様々な思考の結果、ジュリアはそう言った。
「あら?大丈夫?顔が真っ青よ?」
フジコ先生がジュリアの顔を覗き込み、瞬(まばた)きをしながらそう言ってきた。
「お前のせいだよ」なんて言う元気も無い。
「うん 後で また少し横になる」
なんか急激に気分が落ちる。感情の起伏が激しいっていうか、前より気持ちも不安定な気がするなあ。
「決まりだ 北ミナミをさらう」
パソコンから、リュウオウ様の命令が聞こえた。