0016 葛飾 アンジュ 蝶 編 (25/79)

髪の毛は細くて色素が薄そうなブラウン。ショートボブで、前髪も下ろしている。前髪の先には、リスみたいに大きな黒目。


何の変哲もない朝の下駄箱で、可愛い女子高生に声をかけられただけなのに、ジュリアの心臓は信じられない程高鳴っていた。


その子は大きめのカーディガンの裾から指先だけを出し、自分の髪の毛をすきながら口を開く。


「あのブログみたいなこと やったんだろ?ああ?」


こいつ、まさか。


見た目もシルエットもイチゴみたいに可愛いのに、声が掠れている上にヤンキーみたいな喋り方。


何この子。ゆとり教育に真っ向から反逆したかの様な気合いなんですけど。


「何の事?あなたは?」


ジュリアがしらばっくれようとすると、彼女はカーディガンのポケットから何かを取り出し、口元に近付けて見せた。


半月型の金具。


SCM、間違い無くSCMだ。そして口を大きく開けてSCMを装着した。


「分かるべ?」


心臓がドクンと鳴った後、手先が冷たくなり、目元に力が入る。


「あれ?てめーSCM着けてねーの?」


ジュリアは今SCMを着けて無いからアラームは鳴らないけど、彼女が見せた手慣れた装着の様子と言動で、間違いなくそれは本物だと感じた。


「あんたが あんたが あのデブ差し向けたの?」


思わず早口になる。緊張で今にも噛みそう。