0016 葛飾 アンジュ 蝶 編 (9/79)
フジコ先生は一瞬ジュリアに目を合わせてから、ベッドスペースのカーテンを閉めて扉の方に向かった。
「先生ー 具合悪いから寝かせてー」
カーテンの向こうから女の子の高い声が聞こえた。
「あら その前に熱計りましょうか」
「えー 前の先生は寝かせてくれたよー?」
ダダをこねる甘ったるい声。ジュリアもハタから聞いたらあんな感じなのかな。
「あら 少し熱があるわね」
「でしょー?」
少しすると、隣のベッドからゴソゴソと人の気配を感じた。今来た子が隣のベッドに寝ようとしてるんだ。
その間、ジュリアは目を瞑って寝たフリをしながら色々考えていた。
具合は大分良くなったけど、この体調の悪さは何なんだろ。平日の昼は学校だし、週末の夜は出勤の二重生活だけど最近慣れてきたしなあ。
布団の中で、フジコ先生から貰った箱を握る。
まさかねえ。
「ねえ あなたもサボり?」
突然、カーテン越しで高い声が聞こえた。