0016 葛飾 ジュリア 蛹 編 (69/91)

唯一のチャンスを逃した事は、ジュリアなんかよりリュウオウ君の方が分かっている。


「けどそれなら 練馬会長と勝負して勝てばいいだけだし」


「あいつに勝つ方法 思いつく?」


前向きの事を言ったつもりだったけど、ジュリアなんかに思いつく訳無い。


何も言えずにいると、余計気まずい空気になった。


その後は、お互い何も話さないまま時間が過ぎる。


その間にお店からは着信があり、出勤は今まで通り続けるよう、話をされた。


そして、その日の夜。


横になっていたリュウオウ君は突然ムクリと起き上がり、畳を見ながらつぶやく。


「作戦を変える」


「え?」


「お前の客か知り合いで 1番金があって頭がキレる奴は誰だ?」


お金があって、頭がキレる人。


ジュリアは思いついた人を頭に浮かべながら言葉にする。


「餃子のネット販売をしている社長さんで 頭もいい人がいるけど」


その人は羽振りもいいし、遊び方もキレイですごく頼りがいがあるから、ジュリアも時々相談に乗ってもらっていた。でもちょっと下ネタが多いかなあ。


「名前は?」


ジュリアはバッグから名刺入れを取り出し、中の1枚をリュウオウ君に渡した。


リュウオウ君は名刺の名前を読み上げる。


「中央 チュウ?」