0016 葛飾 ジュリア 蛹 編 (68/91)

その後、場をにごしたジュリアは家に帰らされた。


お手洗いで口の中をすすいで、既に充電の切れたイヤホンを外し、1人で着替えた時の惨めな気持ちは多分ずっと忘れない。


今日は送迎も無い。


放心状態で駅のロータリーに停まっているタクシーを拾い、リュウオウ君のいる家に帰った。


家に帰ってから、リュウオウ君に一応報告した。


イヤホンの充電は途中で切れていたから、リュウオウ君は事の一部しか知らない。


「GPSの反応は無かった」


練馬会長はSCMを持っていなくても、存在を知っている。今は奴隷を作る気や、勝負をする気は無い。けど、持っていないのは嘘かもしれない。


持っているのか。知っていただけのか。すでに誰かの主人なのか。奴隷なのか。


確かなのは、次SCMを見せたら殺される。


ジュリアも多分血の気の無い顔をしていたけど、リュウオウ君も静かに青冷めていた。


真実は何も分からない。


口数の減ったリュウオウ君も怖いけど、得体の知れない練馬会長の言葉や行動は、ただ怖かった。


リュウオウ君とジュリアの計画は、見事に失敗したんだ。


脅迫からの勝負をしたいけど、ジュリアたちにそんな力は無い。


あの人の周りには常に人がいる。何度もヤクザの人に襲われたから、用心深さもハンパない。


近付けたはずのジュリアも、今回の事でかなり警戒されるようになった。


唯一のチャンスも、無くなったんだ。