0004 目黒 マサカズ (25/29)
「パンツも切って」
予想はしてたが、マジかよ。
「ん゙ーーー!」
若者はまた騒ぎだした。俺だって男のパンツなんて切ったら、何が飛び出してくるかなんて、毎日会ってるアイツだろ。
しかし、ルシエの指示には逆らえない。何の理由も無いのに、逆らったらゾッとするような感覚だけがあるんだ。
「マジで動くなよ?俺だって傷付けたくないんだ」
俺が同情を含んだ言葉を言うと、若者は助けを求める目で俺を見てきた。目に涙を浮かべ「ふぃ」「ふぃ」と子犬みたいな息を出す。こいつ、まだ20歳くらいか。
くそ。そんな目で俺を見るな。俺だってやりたくねえんだ。くそ。くそ。
俺だって、お前がかわいそ
ああ そうか。
ルシエも。
ルシエもあの時、こんな思いで俺を見てたのか。
辛くても誰も助けてくれない、助けを求めても状況は何も変わらない。
俺は、そんなルシエを性欲にまかせて無理矢理 犯したのか。
したくないのに、若者を苦しめ、今は冷静だから分かる。
胸が、とても苦しくなった。
俺は若者を見る。こいつも気付いてるのかな。
無理矢理、性的暴行を受ける気持ちが。
「早くやれよ」
毛糸のマスクで、少し隠った感じに聞こえるルシエの声が、俺の気持ちを吹き飛ばした。
「は ワン」
すまん。