0016 葛飾 ジュリア 蛹 編 (63/91)
会長は半開きになった無垢な目のままで言う。
「SCMでしょ?それ」
うそ。
「おい なんでだよ」
耳元で、リュウオウくんの興奮した様子の声がした。ジュリアは何も言えないまま、SCMを持ったまま。
「君も付けているのか」
君も?
練馬会長もSCMを持ってるの?うそでしょ?
ジュリアの手足の先が一気に冷めていく。
「もう 付けてるんですか?」
やっと出たジュリアの言葉がそれだった。
「いいや 存在を知っているだけで僕は付けていないよ」
背筋が凍るって、こういう感覚なの。もっと空気が欲しいのに、呼吸を忘れそう。
会長は別の席で飲んでいるボディーガードを見ながら、ジュリアに言う。
「次それを見せてきたら 殺すよ?」
鼻から吸い込んだ息と同時に、ゾクッとした。
怖い。この人怖い。
鷹みたいな瞳は、暗くニゴって光もない。
「くそくそくそ!くそ!くそ!」
耳元でリュウオウ君の叫び声が聞こえた。
「くそおおおおおお!」
それはジュリアの心に、痛いほど突き刺さった。