0016 葛飾 ジュリア 蛹 編 (60/91)
ジュリアの胸の中では、いつからか震える小さな背中が呼吸をしていた。
笑顔のジュリアの裏の、本音の奥のさらに奥に、リュウオウ君がいるの。
なぜだろう。なんなんだろう、この愛しさ。
恋愛とは違う、この尊さ。
視界の全てはみんな嘘。
ジュリアの心の暗闇の中で震えるリュウオウ君が忘れられない。
このヴィジョンだけが真実。そう、真実。
この場にいる中で、ジュリアの意思だけが真実なの。
「おい 夏のジャマイカ 飲み過ぎだ」
「ぁっ」
耳元から突然した声に、吐息ほどの声を漏らした。
そうだ。リュウオウ君と繋がったままだった。
どうしよう。リュウオウ君が不快になった。
そうだよね、ジュリアもみんなから煽られて、かなり飲んでたよね。
謝らなきゃ。
でも周りには練馬会長や他の子もいるし。この状況ではイヤホンの向こうのリュウオウ君には謝れない。