0016 葛飾 ジュリア 蛹 編 (58/91)

普通に出勤して、いつも通りドレスに着替えて、お客さんもボチボチ来る平日の夜。


緊張感より、お腹が空いてきたという気持ちが強くなった頃。



「っつかれさまでーす!」



客がハケ始めた店内に、週一限定の大声が響いた。練馬会長が来た時の掛け声だ。


来た。練馬会長が来たんだ。


待機室にいたジュリアは、ポーチの中の携帯からリュウオウ君に電話をかけ、耳元のイヤホンをオンにする。


「こちら春のジャマイカ 春のジャマイカ」


耳元のイヤホンからリュウオウ君の声がした。春のジャマイカは リュウオウ君。


「夏のジャマイカ 聞こえていたら 鼻をすすれ」


夏のジャマイカは ジュリアの事。遊び心なのか本気なのかは分からないけど、リュウオウ君が決めたコードネームなんだよね。


「ズズッ」


他にも女の子がいたから、鼻を肩に近付け、鼻を鳴らした。


「音声は問題無い お前のタイミングで練馬にSCMを付けさせて勝負をしろ」


リュウオウ君の指示の直後に、待機を覗いて来た店長に精一杯甘えた声を出す。


「ジュリアは練馬かいちょーの隣だよね!」


酔ったフリをして、当たり前の様に会長を無理矢理 逆指名した。