0016 葛飾 ジュリア 蛹 編 (35/91)
玄関先に仰向けで倒れ込んだジュリアを、リュウオウ君は濡れて光った目で見下ろす。鼻先が赤いことはなんとなく分かる。
「黙れ バカ女」
「ひ」
普段は高い声を出す薄い唇が、嗚咽を吐くように低い声を出した。
それはジュリアにとってたまらなく怖い声だった。
「リュウオウく 」
やっぱり怖い。
ジュリアが何したの?
ただ抱きしめただけじゃない。
「ムカつく イライラすんだよ」
リュウオウ君の言葉たちに、ジュリアはヘビに睨まれたカエルみたいに何もできないでいた。
「なんで」
やっと出たジュリアの言葉がそれだった。
「分かんない」
「どうして」
「知らない」
ジュリアの疑問に、リュウオウ君は曖昧な返事をする。
まるで子供みたい。子供だけど。