0016 葛飾 ジュリア 蛹 編 (34/91)
まだ電気は点いていなくて、暗い玄関。外からわずかに差した電灯の光が、お互いの輪郭が分かるくらいの明かりを照らしている。
泣いているリュウオウ君を見て、ジュリアの胸の奥の穴が握り締められる気がした。
セイヤと別れてできた穴。
その穴が針で縫って引っ張ったみたいに、無理矢理閉じられていく感覚を感じながら、ジュリアもしゃがみ込む。
「ジュリアがいるよ」
ホコリっぽい木製の狭い玄関で、ジュリアはリュウオウ君をギュッと抱きしめた。
ジュリア、今、超母性的。それにジュリアだったらこういう時、抱きしめてもらいたいし。
「うるせえ」
「え?」
リュウオウ君は力を込めた小さな手の平で、ジュリアの肩を押し、突き放す。
「きゃっ」
肩をグリッとされて痛かった。
後から思えば、それはジュリアにとってセイヤで開いた穴を、彼で埋める為にした行動だった。
その時のリュウオウ君にも、それは分かっていたのかもしれない。