0016 葛飾 ジュリア 蛹 編 (33/91)

すごく気まずい空気の中で、ジュリアとリュウオウ君は電車に揺られる。


リュウオウ君は不機嫌な顔で電車の座席に座り、向かい側の窓を睨んでいる。


複雑な心境なんだろうなあ。とは思っても何を話したらいいのか分からない。


むしろ、やっぱ無性に怖い。


昔バイトしてた別のキャバクラで鬼の様に怖い専務がいたけど、この緊張感であの人を思い出した。待機で他の子と楽しく話していても、その人が来たらお互い黙り込んじゃう感じ。


家から最寄の駅に着いて、歩いて、家に着いて。


玄関から家に入った瞬間。


突然リュウオウ君が玄関の段差に顔を埋めた。



「う ぐう」



そして嗚咽を吐いて泣き始める。



「ぐふう ふう」



彼の小さな後頭部が震えていた。



狭い背中が一生懸命呼吸している。



お母さんのあんな姿を見て、つらいんだよね。



苦しいんだよね。悲しいんだよね。



普段は意味不明な子だけど、その小さな背中を見てトクンと心が動いた。