0001 港 タキオ (9/19)
初めから目当てがいると言えばいいのに、こういう形でそれを知ると不快な気分になる。
元々、そんなに仲のいい方の友人ではない。おごってもらっても、感謝よりラッキーと思うのがいい例だ。
不快な気分になったが、まあ今日はタダ酒で普段行かない店にも行けた。あとはこいつが指名してる女を見て、後日他の友人達に「あいつ キャバ嬢に入れ込んでるぞ」とおもしろおかしく話してやる事を考えていた。
席に着くと、すぐに黒服と女の子が来る。友人が指名したキャバ嬢だ。
ボーイと2人の女の子が近づいた瞬間、さっきよりもハッキリと『 キュィーン 』と歯に振動が起きる。
歯医者で機械を当てられてるような不快感。
数秒で終わったが、店に入った時よりも強い。
なんだ?なんなんだこれ。
「失礼します ジュリアちゃんです」
疑問の中、紹介された女の1人。
髪の毛はいわゆるキャバ盛りだが、派手過ぎないアッシュゴールドな髪の色と巻いた螺旋(らせん)が品とカッコ良さを感じさせる。